ちょス飯の映画評
『早春』 ★★★★★
- 出版社/メーカー: 松竹
- 発売日: 2018/07/04
- メディア: DVD
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それにしても、小津安二郎作品に登場する主役たちはため息が出るほど美しい。池部良と淡島千景が夫婦で、岸恵子が夫の浮気相手。サラリーマンたちの愚痴が、リアルで脚本は彼らの生の声を多く取材して集めたのだろう。通勤電車が満員で辛いことや、嫌な上司のこと。しかし、いきなり地方への転勤を打診されて、主人公は了承するが、それは東京を離れることで、浮気相手とは縁を切り、妻と出直しをしたいという落ちだった。夫婦には、早逝してしまった坊やがいたというのも、妻の鬱積の大本であったというのも、設定が安直でない。
妻の母親が浦辺粂子。夫の浮気は当時は問題とされなかったようだ。「私のだんなは、結婚したばかりなのに吉原へ行っていたよ」という。
隣人のおせっかいな奥さんに、杉村晴子。ちょい役でも、本当にそこに暮らしているおばさんと思えてくる。
当時の建物や飲み屋、ミルクスタンドの様子など映画は後世に動画で伝えるという役割もあるのだ。岸恵子の、激情する演技。しかし、主人公の送別会ではさばさばと別れる潔さが光った。
やっと光が見えたと思ったら
講座の説明会と適性検査、面接を受けてchosuが午後6時少し前に帰宅した。7年ぶりのスーツ姿だが、憔悴しきっている。
「合格発表は金曜日午後6時までに連絡が入るが、不合格者には連絡しない」とのこと。「ダメかもしれない」と言う。
「ええっ!」
chosu-manmaとpampaは、chosuの出発を見送ると合格を願って、近所の神社へお参りに行きその後「楽勝だろう」とイタリアンジェラートを舐めてまったりして、買い物をして帰宅したのだったが。
うーん。
もし、不合格でもアルバイトを辞めて、就職しようと決意しただけでも進歩。大丈夫。不合格なら、次の一手を探すだけだ。選ばなければ、どこも人手不足だから仕事はいくらでもある。しかし、自分のしたい仕事に就きたいのなら、努力と忍耐で勝ち取らねばならない。面接官は「もしここがだめだったら、履歴書の書き方をこうしなさい」と厳しく指導してくれたという。それは核心をついており、世の厳しさを教えてくれる指摘だった。感謝して前へ進もう。
知人のJくんから、電話がありがっくりした。前々回の台風で壊れた屋根はまだ直していない。という話だったが・・・それを伝える以外のことで20分。10分経ったら一度切れば、通話料が無料の携帯で話したのだが。時間を測るのを忘れた。
彼の言いたいことは、今の職場は馬鹿ばかりで、社長はパワハラをする。別の仕事を見つけてから辞めたいということだった。そして、専務として働いていた頃の自分を美化していいた。今は、徹夜勤務の弁当屋で飯炊きをしているというが、・・・。
常に励まし、「あんたは、えらい」と言ってきたchosu-manma。しかし、その言葉を彼は否定するのに、自分では「俺は、えらい」とばかり言うのだった。そして、身近にいるHくんが、自営業に失敗した後、タクシー運転手に転職したことを、chosu-manmaが誉めると、「あいつには務まらない。すぐけつを割るだろう」と言うのだった。
邪悪な感情が、彼の中で育ってきていることに驚いていると、家人は「いつものことなのに、また驚いたのか」と言う。
chosu立つ
ああ、長かった。2011年3月大学を終えても、就職しようとしなかったchosuがいよいよ、人材育成の養成所へ入ると決断。明日は、説明会と面接試験の日だ。
どうか入所できますように。そして、かなり遠いが毎日通えますように。往復4時間弱。彼にとっては、はじめての電車通学だ。3ヶ月の勉強と1.5ヶ月の実地訓練後、スカウトが来てくれるという。
神様仏様お稲荷様お地蔵様、タケミカズチ様に、chosu-manmaは今日も祈りを捧げてきた。
だが、しかし。工事現場の手前に立つ交通整理の人にchosu-manmaが「そこのお店でおじさんも、買うといいよ。安いから」と立ち寄って買った里芋を見せて立ち去ろうとすると、「おじさんじゃないよ、おばさんだよ」と言われてしまった。
夏の炎天下もずっと一日中立っていて、今日も立ち続けるその人は、おばさんだったのだ!
外出するたび、その交差点の前を通るので、挨拶をしたり、自然と暑いの寒いのと会話するようになったが、その声も男のしわがれ声だった。男性と全く同じ制服とヘルメット、真っ黒な顔。その人は、小柄だがまったく男にしか見えなかった。
「ごめんなさい」ああ、悪いことを言ってしまった。「お孫さんはもう、大きいですか」と尋ねると「誰もいない、ずっとひとり暮らしだ」とまたまたいらんことを尋ねてしまった。「いやあ、それは立派ですね」とchosu-manmaは、もう一度謝ってから、すごすごと立ち去った。
ちょス飯の映画評
『東京暮色』 ★★☆☆☆
- 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
- 発売日: 2007/12/22
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真面目だけが取り柄の銀行員の父に、笠智衆。その姉は原節子で、出戻り。いつもの小津作品の面々が、ごく普通の日常を演じているが・・・。
男ができて、妹がまだ3歳のとき母は出奔する。その彼女が、麻雀屋のおかみとなって、東京に戻ってくるが・・・。母は、子を捨てて男と暮らしてきたことに、なんの後ろめたさも持たず、偶然おとなになった下の娘と出会う。そこが、ちと変だ。変な女だから、夫子を捨てられたのだろうか。解せない。
ちょス飯の映画評
『3度めの殺人』 ネタバレ注意 ★ゼロ
- 出版社/メーカー: アミューズ
- 発売日: 2018/03/07
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何が真実なのか、さっぱりわからぬまま。
観客が想像してくれというのか。殺人犯は、自分が不幸な生い立ちだ、生まれてこなければ良かったというが、彼は世の悪人を滅ぼすヒーローなのではないか。しかし、この世では「殺人者」と判断されて絞首刑になるという、皮肉。
最後まで彼の娘は登場しなかったが、・・・。父親に性的虐待されていたという、娘の証言も映像がなく、証拠もない。そして60歳近い殺人犯と女子高校生が肉体関係を持つ仲だというのは、あまりにも突飛な設定だ。少女のために彼女の父親を殺したというより、彼女が殺したのをかばっているということなのか。
裁判官は人の生命を自由にできる商売だというのが、結論なのか。「復讐するは我にあり。」と神はのたもうた。
人は人を裁けない。
はじめから最後まで薄暗く、重々しい画面ばかり。もっと救いのある落ちにしてほしかった。
『天国と地獄』 ★★★☆☆
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2007/12/07
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黒澤明監督は、三船の容姿にぞっこんだったのだろう。彼は絵になる。
今回の発見は、刑事側の張り込み、尾行、思惑がトントン拍子に犯人逮捕に結びつきすぎだということだ。初見のときは、手に汗握って見ていたが、もう少し失敗や紆余曲折があってよいだろう。新聞記者達に、刑事が偽記事を書かせるというのは、今では考えられない。ただし、人命がかかる誘拐事件は今でも、発表を控える措置が取られている。
医者を志すものが、貧乏で金持ちの家の住人を憎むというのは、当時の設定としても変だ。苦学生はいただろうが、貧乏人はたいていそれほど賢くないものだ。しかし、靴屋のおやじは苦労人で、資産家でもなんでもなかったのに、スラム街から見える御殿に住んでいると言うだけで、憎悪の対象となっていったのだ。
ヘロインの効果の実験だいとして殺された薬中の娼婦が、可哀想だった。完全犯罪は、やはり手下を殺すことで成立するのか。
ちょス飯の映画評
『3度めの殺人』 ネタバレ注意 ★ゼロ
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何が真実なのか、さっぱりわからぬまま。
観客が想像してくれというのか。殺人犯は、自分が不幸な生い立ちだ、生まれてこなければ良かったというが、彼は世の悪人を滅ぼすヒーローなのではないか。しかし、この世では「殺人者」と判断されて絞首刑になるという、皮肉。
最後まで彼の娘は登場しなかったが、・・・。父親に虐待されていたという、娘の証言も映像がなく、証拠もない。裁判官は人の生命を自由にできる商売だというのが、結論なのか。「復讐するは我にあり。」と神はのたもうた。
人は人を裁けない。
はじめから最後まで薄暗く、重々しい画面ばかり。もっと救いのある落ちにしてほしかった。