73年目の敗戦記念日

 NHK以外、テレビではほとんど戦争関連の番組を放映しなくなった。新聞は、8月になると色々な特集記事を掲載するが。

 昨夜はNHKテレビで「ノモンハン事件」の責任の所在についてをテーマにした番組があった。そうだろうな、と思っていたとおりの番組だった。

 作戦を立案し命令する側は、適当な思いつきで、相手側の実力を調べもせず侮り、旧式の三八銃で最新式の戦車に突撃させていた。
 正しい敵方の情報を伝えようとするものに対し、それを本部に伝えるな、と脅迫する始末だ。
 食糧も弾薬の補給もない中で壊滅するより撤退して、体制を立て直し、次の戦闘に備えようと正しい判断をした井置中将。彼は、多くの部下の命を守ったといえる。というか当然の選択をしただけだったのに。
 その後、上の指示で何度も「自決」せよ、お前の責任でノモンハンの戦いに破れたのだと言い募られたという。そして、拳銃を置いておかれたと。
 戦後、このことは遺族にも秘密にされたが、自殺に追い込まれたことが公表された。

 しかし、関東軍の作戦係氏は、自分のこどもたちに一切卑怯なことはしていないと、遺言ノートを遺していた。彼の常識では、自分の判断に間違いがないのだろう。彼は、一切この作戦の責任を問われなかった。陸軍のお偉いさんに可愛がられていた彼は、部署を移動させられただけで、またしばらくして戻っている。

 馬鹿げた馴れ合いが、より多くの部下を犬死させることになったのだが、命令する側にとっては、部下は弾除けの駒に過ぎないからだろう。
 ひとひとりの命が自分の命と同じくらい大切なものだという、見識がまったくない。このような人々が、上に立っていたのだ。天皇陛下の命令さえ、無視していたことが今回明快に示された。