ちょス飯の読書日記

 『煤の中のマリア』 島原・椎葉・不知火 紀行  ★★★★☆

 石牟礼道子氏が新聞社の提供でカメラマンと、連載小説の舞台となる場所や関連の地を巡る紀行集。
 
 『アニマの鳥』『天湖』の構想を練ったり、書き終えてから現地を見に行ったりしたときの風景や出会った人、案内してくれた郷土史家の面々が描かれている。
 しかし、眼が悪く足も萎えていた筆者が、噴煙を上げている雲仙近くをよく周ったものだ。
 小さな海辺の生き物や、樹や草の描写が深い愛情を込めて描かれている。
 それしにしても、鈴木重成という役人のことは、もっと日本の歴史教科書に取り上げるべきだと思った。彼は、島原の乱で斬首された一揆民の慰霊のために、寺を建立。領民のために年貢の半減をお上に申し出て、なんと切腹して一生を終えたという。
 未だに、鈴木様を慕う天草の人々。小さな鈴木神社が点在しているというが、私もいつか、お参りしたい。
 隠れキリシタンの郷、水俣病記念館など石牟礼氏の物語の地を歩いてみたい。

 写真入にしてほしかったので、マイナス1。地図だけでは、物足りない。