ちょス飯の読書日記

 『水俣病の民衆史』第二巻  ★★★★☆

 664頁。読みました。
 患者、周辺の人々の声を録音して、そのまま書き起こした書。水俣病研究家からお借りした。ある一人の患者、その病態と家族、そして周辺の村人の話を、二重三重に書いてあるので、ドキュメンタリーともいえるが、客観的事実としてもうすこしスッキリさせてもよかった。方言のままなので、意味不明のところもあった。

 しかし、3つの村それぞれの水俣病に対するとらえかたの違いが、職業別、地縁血縁別、経済状態の段階別でわかりやすく検討されている。

 行政と医療体制が、困窮し極限状況に追い込まれている患者とその家族に対して、当初はあまりにも冷酷であったことがよく分かる。
 無知により、「伝染病」だと信じ込まされた村人は、自分も感染しないように注意したり患者たちを排斥したりした。それは、当然のことだった。

 原因がわかった後でも、毒の含まれた排水を続けて放流していたチッソ。この事実はもっ糾弾すべきだろう。

 貧困に加えて、不自由になってしまった体で、患者や家族が死んだ魚を取って食べていたことは、この本で事実とされている。小さな貝やカニ、エビを日常的に腹いっぱい食べたこどもが、水俣病になったとの証言は、胸がつぶれる思いで読んだ。