ちょス飯の映画評

 『タイタニック』   ★★★★★

 何度見ても、ジャックがローズに「生き抜くんだ」と言って、極寒の海に沈んでいく場面には泣かされる。そして、ローズが他救出に来たボートに笛を鳴らす場面。

 前半の大金持ちの華麗な食事シーンと、船底の貧乏人達の激しいダンスパーティの対比が面白い。そして、ローズの婚約者成金のキャルの悪者ぶりも。

 極限状況の中で、愛する人を守るとはどういうことか。下賤の身分のジャックがあまりにも冷静で賢いのが不思議だが、彼は審美眼を持った画家志望の青年なのだから理想的に描かれても良いだろう。

 ローズ役は、冷たい海の中で生き抜ける脂肪を蓄えた女優だからと選ばれたのだそうだが、いかにも健康そうではちきれんばかりの美しい肢体。彼女が、ジャックと出会い結ばれるのはあまりにも短い間だった。あまりに劇的な、タイタニックの沈没。

 老婆になったローズは、幸せな人生を生き抜き、ジャックとの思い出は彼女の中で生き続けた。死は、愛の終わりではないのだ。