ちょス飯読書日記
『西南役伝説』 ★★★★★
- 作者: 石牟礼道子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1988/01/01
- メディア: 単行本
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淫売、勧進(乞食)、気狂いの人に対する作者のまなざしは常にあたたかい。
これは、石牟礼氏が100歳以上のおじいさん、おばあさんを訪ねて、自分たちのおじいさんたちから聞いた西郷隆盛の戦いはどうだったかを、聞き書きしたもの。
農民にとっては、誰と誰が戦おうが関係ない。田畑を荒らされたり徴用されるのは苦しいが、自分の命が一番大切だと知っている。
官と民の戦いも意味がわからない。天皇陛下とは何かも知らない。
明治以後、全国民が戦争に駆り出されて、万世一系の天皇の赤子となるのは、ずいぶん後のことなのだ、とわかった。
敗軍の兵士の死体が累々と重なり、人魂が出て困るけん、坊さんにお経を読んでもらったという件、幽霊もいっぱい出たのだそうだ。それは、本当だろう。