ちょス飯の映画評

 『湯を沸かすほどの熱い愛』  ★★★☆☆

湯を沸かすほどの熱い愛 通常版 [DVD]

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 本作で宮沢りえが日本アカデミー最優秀主演女優賞を獲得。膵臓がんで突然余命が幾ばくもないと、医師に告げられてから、どんどん痩せていく姿、残していくこどもたちへ伝えなければならないこと、やり遂げなければならないことをひとつひとつ片付けていく。まさに、終活の映画だ。
 しかし、重く悲しい姿を描いているのではない。死ぬゆく母であっても、明るく気丈に日常を生きている。
 ただ、こどものいじめや虐待に加えて、ヒロイン自身も親に捨てられた娘であったという設定はどうだろう。複雑すぎる。

 こんなに、愛情をもって実子でなくとも育てられる母性を、虐待されて育った女性が持つことができるだろうか。過去を乗り越えた女性ということなのか。
 物語のヒロインなのだから、これでいいのか。

 銭湯が舞台だったが、風呂付きアパートが増えた今日、なかなか難しい商売だ。そこのところも、描くべきでは。女と駆け落ちして戻ってきた夫役のオダギリジョーは情けなく、いい加減でリアルだった。