ちょス飯の映画評

 『はなちゃんのみそ汁』  ★★★★☆
 

はなちゃんのみそ汁 [DVD]

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 主人公が乳がんであることを知ってから、治療をしながらそれを理解し受け入れてくれる恋人と結婚して、妊娠・出産をするということは、近い将来の「死」を覚悟しての決断だったと思う。

 姑役の高畑淳子が、ごく普通の発言をする。がんを発病している女性とは、結婚してほしくない。これは、当然の母親の言葉だ。もう少し、嫌がらせをしてほしかった。
 実話をもとにした映画。ヒロインに広末涼子。彼女の明るさ、美しさ、強さが素晴らしかった。福岡の地方新聞記者である夫に滝藤賢一。彼のひょうきんさ、辛さを見せない看病の態度は、同じような病人を抱える周りの人に、感銘を与えたことだろう。子役の子も、棒読みのところが良かった。

 日本古来の玄米や味噌汁、漬物梅干しが実は、がんになってしまっても、その体の環境を変えていくという奇跡は、実際にありえると思う。しかし、やはり一度消えたかに見えたがん細胞は、散り散りになっていただけで、数年後には全身に転移してしまう。

 一人娘を残して逝くというのは、どういう心境だっただろうか。

 彼女は、食の大切さをわずか5歳の娘に教えて、実際に味噌汁を作れるように仕込む。
 
 わたしも、もっと味噌汁を丁寧に作ってみようと思った。

 食生活の改善は、確かに体調を整えることだろう。

 ただ、綺麗なシーンばかりだったのが、残念。弱っていく母に対する、こどもの葛藤もあったはず。抗癌剤治療の地獄も、描いたほうがより深い物語となったのでは。