ちょス飯の読書日記

 『魔術はささやく』  ★★★☆☆
 

魔術はささやく

魔術はささやく

 宮部みゆきの初期の作品。
 ちょっと、詰め込みすぎのストーリー。『相棒』の脚本5本分くらいの内容だった。情景描写がまずく、よく理解できない箇所がたくさんあったので、マイナス2★。

 知人に催眠術を習っている人がいるが、人を催眠術で操り完全犯罪を計画できるとしたら、これは大変だ。
 
 また、サブリミナル効果についても、紹介されている。人は映像や音楽、ある種の薬(空中に混ぜる)によって暗示を掛けることができ、購買意欲を高めたり、万引きを抑制できるという箇所は興味深かった。私達は、TVコマーシャル、マスコミ、ネット情報に影響を受けるが、それは自覚し自分で受け取るか否か、正否を考えることができる情報だ。
 無意識のうちに影響されて、大きな力に操られているとしたら、恐ろしいことだ。

 やや作られすぎたストーリーだった。確かに美女に近づかれて、純朴な童貞諸氏がころりと騙されて、有り金をふんだくられるのは、気の毒だが・・・。金ではなく、心を盗られることに対する、作者の憤りがテーマだったのかもしれない。