ちょス飯の映画評

 『レナードの朝』  ★★★★★
 

 実話に基づく映画。あまりにも悲しかった。嗜眠性脳炎により、20年も眠り続けていた患者が覚醒したら。研究熱心な化学者(ロビン・ウイリアムス)が臨床医となりドーパミンを試験的に投与したところ、劇的に功を奏し患者たちは目覚め、普通に動けるようになる。
 しかし、・・・。

 レナードがその実験第一号となったが、目覚めて動けるようになった彼は病院の外へひとりで出たい「自由になりたい」と言い出し、力ずくで止められて発作を起こしてしまう。

 意識のないときにも、患者の耳は聞こえていた。まして、心は生きていたのだった。

 レナードが恋をする。彼をずっと看病してきた母親は、「女なんて」と毒突くが・・・。病院の食堂で、病気が悪化しての震えや体の硬直が起きてきた彼は「もうお別れしようと思う」と言う。その場面は涙、ただ涙だった。

 レナード役のロバート・デ・ニーロは、患者の激しい症状をそのままそっくり演じてみせた。そのままに。やがて、薬は効かなくなり、患者たちは再び眠ってしまう。

 精神病の人たちを、人間として扱わなければならない。と映画は教えている。