ちょス飯の読書日記
『王とサーカス』 ★★★★☆
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2015/07/29
- メディア: 単行本
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冷静沈着・無表情で、しかも日本で心に深い傷を負ったばかりの彼女が、この大事件の記事を書くことになり、その取材を通して、ジャーナリズムの真髄とは何かを描いた。
リアルで、静かなミステリー社会は小説だ。
「ハゲワシと少女」の章はわたくし自身が読む前から思っていたことが、米沢氏のコメントとしてしっかり書かれていた。
世界に伝える前に、目の前の飢えている少女を何故助けなかったのか。ピューリッツア賞を受賞した、このカメラマンは後に自殺してしまった。
事実を伝えるとはどういうことか。受けてはどう、それをとらえるか。
たいていの読者は、サーカスで猛獣が逃げ出したニュースを喜ぶ。
そして、ネパールの貧困問題が報じられて、WHOの援助により乳児の死亡率が減少したことが、こどもを大量に生きながらえさせることになり、「職の無い」こども達をより貧困ににさせた・・・という、カトマンズで働くこどもサガルの言葉に、衝撃を受けるヒロイン。
報道にはそういう一面もある。何故、ある国のことを世界中が知らなければならないのか、そんな必要はあるのか。
ヒロインは最後に、その答えを見つける。
あなたにも、読んでいただきたい。
マイナス1星なのは、もう少しヒロインにどじな一面や葛藤するところ、ほっとできる場面、華がほしかったから。