ちょス飯の読書日記

 『インシテミル』 ★★★★☆

インシテミル

インシテミル

 これは、密室の中に閉じ込められた12人のモニターが7日間11万2千円の時給で過ごすというあり得ない!実験小説だ。

 大金がもらえるアルバイトだと思って、申し込んできた12人。主人公は冴えない文学部の大学生結城。中古車がほしいと参加した。彼に、アルバイト情報誌の見方を教えてほしいとコンビニで声をかけてきた須和名は、お金持ちのお嬢様学生だが、彼女も参加。

 何もせず、飲み食いして寝ているだけで1千万円以上の謝礼がでるから、と全員が一同に会したときリーダータイプの大迫が皆に言うが・・・。

 
 ひとりひとりの居室には鍵がかからないようになっており、ひとつづつ殺人するための武器が置かれていた。

 はてさて、12人のネイティヴアメリカンの人形が並んでいるテーブルを見て、ミステリー好きのものはピンと来た。

 モニターの動きは主催者が逐一見ているという設定で、「人殺し」は起きるのか、探偵は誰がやるのか。

 面白くて、一気に読んでしまったが、12人ひとりひとりをはっきり想定できなかった。

 最後になって、「ミステリー」を読んでいると主催者の意図を読めたり、推理して一矢報いることができ、命を守れるというオチだった。

 確かに情報が命を救うことはある。そして、感情のコントロールができず、疑いだけで人を殺してしまうこともあり得るという恐ろしい場面もあった。