ちょス飯の映画評

 『寅次郎相合傘』   ★★★★★

第15作 男はつらいよ 寅次郎相合い傘 HDリマスター版 [DVD]

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 場末の小さな店で歌う、ドサ回り歌手のリリイ。彼女のきっぷの良さ、歯切れのいい啖呵が素晴らしい。リリイ役の浅丘ルリ子の別の映画を見たことがないが、本当に役になりきっている。
 とくに、寅さんが旅で出会った家出してきた中年サラリーマン(船越英二)が、無事に家に帰って来たからとお礼に持参したメロンを、とらやの面々と居候していたリリイ達皆で分け合って食べようとする場面がおかしい。
 外出先から帰ってきた寅さんの分がない!

 そこでの口喧嘩が秀逸だ。

 リリイに大舞台で歌わせたいと、寅さんが語る場面には涙涙。
 
 『寅次郎夕焼け小焼け』   ★★★★☆

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け [DVD]

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 宇野重吉日本画壇の大家として登場。寅さんがこ汚い一杯飲み屋で、無銭飲食の疑いをかけられた彼を救って、とらやに泊まらせる。
 風来坊の寅さんはひょんなことから、いろんな有名人と知り合うものだ。
 播州辰野町で、寅は画家と再会するがそこで、彼の友人として歓待され、宴会の席で今回のマドンナ太地喜和子と出会う。
 ぼたんという源氏名の彼女は、笑ってばかり。地でしょう。寅さんは見ているだけで、笑えてくる。
 しかし、東京の葛飾柴又へある日ひょっこり現れた、ぼたんには哀しい理由があった。

 ぼたんが騙されて200万円もの大金を男に騙し取られたと知って寅さんは怒り狂う。

 その姿に今度は、泣きじゃくるぼたん。可愛らしくて、素直な姿に、見ている方も涙涙。

 単純すぎる役柄を太地が好演したが、もう少し複雑な面も見せてほしかったので、マイナス1。

 寅さんが、画家先生の適当に描いた宝珠の絵が、古書店で7万円で売れたのに驚いて、「みんな、もう働くな。じいさんに絵を描かせて遊んで暮らそう」と言ったセリフが、おかしくてたまらなかった。しかし、後の場面で先生は金のために描いているのではないと言ったが。