あっという間に

 夏みかんの樹が息を吹き返したと思ったら、ある日デカデカと育った幼虫を発見。頭をチョンと突くと、赤みがかった紫色の角を出す。
 こりゃ、クロアゲハだんべ。

 クロアゲハの母さんが、この樹なら子育てできると認知して卵を5個産んでいったらしい。大きさは少しづつ違うので、孵化の日がずれて生まれてきたのだろう。あるいは、別の母さんが、日にちをずらして産みに来たのだろうか。
 
 発見したとき、ぬらぬらと気持ち悪い白黒模様だったが、これがでかいのだった。ナミアゲハではない、と思っていたら、やはり彼らはクロアゲハなのだった。数日後、脱皮して緑色の新幹線のような形になったと思ったら、今朝!

 ベランダに水やりをしようとじょうろを持ってびっくり。臭い臭い、みかんの強い刺激臭がする。どこかに、角を出したクロアゲハがいるのだ。ぎょっ。踏んでしまったかいな。と不安になったが。

 杞憂だった。あら、じょうろの裏側下の方に、でかでかの幼虫が。最終齢なのだろう。蛹になろうとつかまってじっとしている。もう糸を背中に渡したようだ。あれ、君はここで蛹になるのかい。どうか無事に羽化できますように。
 薬缶か何かで、水撒きすることにするよ。だけど・・・。動くもので、蛹になるものは、今までの観察からすると寄生されているものが多かった。
 蜂やハエ、アブのような輩も樹に来ていたから・・・。心配だ。しかし、これも自然の掟。アゲハになれば嬉しいが、他の寄生昆虫が出てきても良しとしよう。


 根を切って蘇らせた夏みかんの樹は、またしても他の生き物の餌となり命の元となったのだ。彼女は死なない。

 3日前、小雨の中で集まっていたクロアゲハの幼虫たち。