ちょス飯の映画評
『カサンドラ・クロス』 ★★★★☆
- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 2001/04/27
- メディア: DVD
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おっとどっこい、乗客の中には知恵者も、勇者もいるのだった。彼らの、行く手にはカサンドラ・クロス橋(列車が通過すれば、必ず落ちるというぼろぼろの橋)が待っている。刻々と全員の死に向かって走り続ける列車。その中での人間模様。
とくに、武器商人の妻である年増の夫人のつばめのひ弱そうな男が、実は彼女の言うなりに尽くしていたのは、自分の麻薬密輸入のためだった、彼女を愛してなんかいない。と言いながら、実は深く愛していたという逆転のエピソードは面白かった。そして、彼が彼女を救いたい一心で、列車の外へ出て窓のシャッターを伝いながら、機関室へ向かう場面も、すごくはらはらした。
日本の映画なら、ここでうまくいくところだ。
安易に全員が助かるというラストではない。ここが非情で、リアルだった。
アメリカ一国が、情報を守るためには、ヨーロッパの様々な国からの乗客の命を自由にできるという恐ろしいテーマ。また、軍命に従う兵士たちの命も自由自在に操って一顧だにしない。
真に迫っている。ただ、医師がいきなり、銃を撃てるヒーローにはなれないはず。また、彼の元妻もとっさに、病人の看護をしたりするが、そんなに勇敢な、振る舞いができるだろうか。主人公たちのの葛藤場面も描いてほしかった。故にマイナス1。
家族を殺されたユダヤ人の時計売りのおじいさんは、どうしてもかつて虐殺のあった場所へは行きたくなかった。そのエピソードは、激しく胸が痛んだ。
名優たちを、何年たっても見ることができて幸せだった。