ちょス飯の映画評

 『箱入り息子の恋』   ★★★★★
  

 冒頭、白っぽいカエルが眠っている姿が映し出される。このカエルが、とても重要な場面転換に使われている。物言わぬものが、大いにその姿と動きで物語っているのだ。
 主人公は今をときめく星野源。ヒロインは夏帆


 人の目を見られない内気で真面目。友人も恋人もいない市役所勤務の35歳。旧家の一人息子だが、このままでは一生独身だろうと案じた両親(平泉成と森山良子)が親だけのお見合いに出かける。
 
 この映画は大人のメルヘンでもある。現代版ロミオとジュリエット

 恋をした箱入り息子がどんどん変わっていく様子がおかしい。

 同僚のやりまん、と呼ばれる女子事務員が、実は彼に力を授けるところも面白かった。
  
 ヒロインの両親に大杉漣黒木瞳。娘を守ろうと鉄拳で立ち向かう父親がおかしかった。

 そして、目の見えぬ人に見えているものについて、教えられた。

 『秋日和』   ★★★☆☆

秋日和 [VHS]

秋日和 [VHS]

 どの場面も清潔で明るい。チリひとつない美しい部屋。うらやましい。
 小津安二郎の美学だろう。
 市井の人というより、当時はめずらしい大学出で一流企業に務める人や大学教授の50代くらいの紳士たちが、亡き友人の7回忌に集う。
 そこで、忘れ形見の美しい娘に良いお婿さんをさがしてやろうと画策するが・・・。
 母親役に原節子。美しくて言葉使いもとても丁寧で、まさに小津の思うままに動く女優なのだと思った。
 しかし、面白くない。愛する監督の思い通りに演技しているようで。故にマイナス2★。

 仲良し母娘を引き離すのは、難しいからと母親の再婚相手を、やもめの「おじさま」に推薦しようとして、・・・

 ここは、男たちの嫉妬合戦やその妻たちの揶揄がおかしかった。
 哀感とユーモアの感じられる、上品な物語だ。