ちょス飯の映画評

 『PK』 ★★★★☆

 インド映画がこれほど面白いとは!
 
 冒頭、宇宙人(男性)が素裸で宇宙船からインドの砂漠に降り立つ。貨物列車が近づいてくる線路沿いに居合わせた貧しい村人は、裸の男が首からぶら下げている宇宙船に帰還するときのリモコンを、大きな宝石だと思ったのか、いきなり首から引きちぎり、奪う。
 盗人は大平原をもくもくと走り抜ける列車を追いかけて、飛び乗り、逃げ去ってしまう。

 言葉も、人間(インド社会)の文化も習慣も一切わからない彼が、盗人が落とした、ラジカセひとつを首から提げて絶望の中、リモコンをどうやって取り戻せるのだろう。

 彼の星には言葉がない。人は本当のことしか伝え合わないので嘘をつかない。

 皆が素裸の彼を、PKすなわち酔っ払いと呼ぶ。

 彼のトンチンカンな振る舞いは、抱腹絶倒。欝の人に見てもらいたい映画だ。しかし、これはただの喜劇ではなく、「神に祈れば願い事がかなう」という人々の言葉を信じてあらゆる神様に、「リモコンを返してください」とPKが祈り始めるところから、「宗教とは何か」、「何故人はお金を神様に奉げれば願いがかなう」と信じるのか、「自分と異なる神を信じる人を、攻撃するのか」という今日のテロに対する問題提起と、それに対する、ある答えを出そうとする。

 PKは自分を助けてくれる、行方不明の「真の」神様を、お尋ね者としてポスターを貼り、チラシを配る。

 そこで、テレビ局に勤める美しい女性記者と出会い・・・

 さあ、果たして彼はリモコンを取り戻すことができるのでしょうか。彼の恋の行方は。
 
 あなたも是非ご覧ください。

 PKを助けた楽団(きたならいしおっさんたち)の陽気な歌と踊りの場面はさながら、ミュージカルの舞台のよう。
 
 

 マイナス1★としたのは、ラストのシーン。これは蛇足だと思う。隣で見ていた家人は、これでいい、というが。