ちょス飯の読書日記

 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 ★★★★☆

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

 村上春樹作品の中で、一番気に入った。自分が、今まで読んだ中では。

 村上独特の不可思議な話が、織り交ぜられている。
 不思議で不気味だが、ロマンティックでもある。
 ごく普通の青年が、ある日突然に理由も告げられずに、友人たちからハブにされてしまう。
 
 自殺したいとまで消沈したつくるが、新しい恋人の出現により、その心の傷を癒していく。

 彼女が的確で重要なアドバイスをするところから、つくるの巡礼が始まる。

 頭の良い年上の彼女は有難い。

 人は自分を何者だろうかと考える。しかし、それは他人からどう見えているかを基準にしたほうが、正解だ。

 ただ、ハブにされた理由が辛かった。ちょっと主人公「つくる」君がかわいそう過ぎた。それでマイナス1★。
 そこを乗り越えなければ、ならない障壁が必要だったということなのか。新しい愛する人と結ばれるためには。
 
 青年のために書かれた青春小説だ。