ちょス飯の映画評

 『太陽の蓋』  ★★☆☆☆
 東日本大震災が発生してから5日間の官邸と福島第一原発で働く青年の家族、政治部記者達の驚愕、恐怖、不安な日々を追ったドキュメンタリーのような映画。

 しかし、官邸は東電本社から福島第一原発のその刻々の危機について、初めは知らされずにいた。

 そして、水素爆発の瞬間をテレビで、一時間遅れで知ったという事実!

 これは、観客である私も知らなかった。

 原発事故で放射性物質が大量に空気中にも、海にも流失してしまったが、まだまだもっと巨大な危機が迫っていたということは、知らなかった。
 
 燃料棒を冷却するための電源車が、やっと到着しても、プラグの形状が合わず、使えなかったことなどを知り、本当に恐ろしかった。

 5年経った今もまだまだ、廃炉作業は進まないし、実際に放射性物質流出のコントロールはできていない。

 黒い袋に削られた表土が満タンに入れられ、そしてどこまでも積み上げられている様子に、胸が詰まった。

 各地の原発を再稼動して、経済を活性化させるという自民党。周辺住民や作業をして被爆する労働者のことを犠牲にしてまですることではない。

 人間には、原子力を制御できない。

 この映画は、主人公鍋島という政治部記者が、三白眼を大きく見開くばかりで単調だった。
 
 これよりずっと、NHKテレビのスペシャルの方がよく分かるし迫力がある。

 事故後すぐの場面で、原子力の安全管理を任されていたトップが「東大の経済出だ」から、情況が分からないし、対策も思いつかないという場面には失笑した。