フラガールに感激

 先月末、友人のフラダンス発表会に行って来た。友人の住む町の文化祭の演芸発表会のなかのひとつだという。

 彼女を驚かせたくて、当日いきなりダンスの後で楽屋へ押しかけて「良かったよ」と言って上げようと思った。
 ネット検索で、彼女のグループが出る時間を調べて、いそいそと杖を突いて出かけた。11時25分の開演に間に合い、舞台の踊り子のなかに彼女を探した。

 近眼だから、どの人が彼女なのか判別が付かない。一番彼女に似ている人をジッと見つめて応援した。

 にこやかに表情を作り、優雅に踊っているフラガール達。
 眼の覚めるような色とりどりの衣装を見にまとい、花の髪飾りをつけて、曲に合わせてレイも替えて、花や葉、貝殻を首から下げて踊っている。

 優雅な腰と指先の動き。素晴らしかった。涙して、拍手。

 演技終了後、楽屋に駆けつけて〇〇さんはいますか?と尋ねると、「うちの団にはいません」と驚愕の返事。「えっ!今日はお休みですか」「いえ、別の団の人では?」と言われて、はっとした。

 ネットに載っている団だけが、今日発表するわけではなかったのだ。

 さて、困った。折角90分もかけてここまで来たのに、もう彼女の出番は終わってしまったのか。

 意気消沈したが、もしかしたら午後の部かもしれないと思って、受付で尋ねても出演者の個人名簿はないという。

 彼女に直接、出番を問うメールをとうとう出した。しかし一向に返信が来ない。

 諦めて、同じ会場で開かれている地区の文化祭の展示をみたり、和服リフォームのおばさんのコーナーで、手作りコサージュが500円でだというので、こしらえてから帰ろうと決めた。

 さあ、出来上がりそうだ、というとき。ぽろろろろろん。彼女からの返信が。出番は13時25分とある。いやあ、1分前だ。

 無事に、彼女のフラダンスを見ることが出来て、やれやれ。しかし、彼女の団は先のグループと違って地味で、表情も真剣そのものなのだった。

 おばあさん達のグループは、失敗が多く互いに微笑みあったり励ましあって踊っていた。そこが、しみじみ彼女らの友情が垣間見えて、可笑しかった。しかし、会場には彼女らの親衛隊が来ていて、しーんとしていた。

 最後には、皆「感動した、涙がでちゃうわ。」とフラガールばあさん達のダンスに歓喜して帰って行った。