ちょス飯の読書日記
『真昼の心中』 ★★★★★
- 作者: 坂東眞砂子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/10/02
- メディア: Kindle版
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坂東の最後の短編集。江戸の女達の恋愛模様。大奥、商家、武家の裕福な娘達の男遍歴が、描かれる。
女の中の男の心というか、暗部を描き切っている。自分の恋愛を成就させるためには、火をつけても人を殺しても構わない。あるいは「心中」に憧れて、軽い気持ちで相手の男に死を押し付けようとする、娘の夫殺し未遂。
どの章も面白かった。表題作より、最後の「暗い夜明け」が秀逸。作者の絶筆だ。
女が性交の快楽を至上としても、やはり肉欲だけの関係には、破綻がくる。年も取る。
しかし、男だけが性を愉しみ、女はその道具に過ぎないということは、決してない。
自分らしく、最後まで堂々と、生きようとする女のたくましさ、強さに圧倒された。