ちょス飯のテレビドラマ評

 TBS金曜10時ドラマ 『私を離さないで』
 これは、あまりにも無残でひどすぎる。架空の話だと分かっていても、涙涙で最後まで見た。何故生きている人間を、クローンだからと普通に生まれた人間の治療に使う材料とできるのだろうか。あり得ない。

 人体が部品として、扱われ、命も自由に出来る社会など絶対にくるわけはないし、許してはならない。
 ドラマでは描かれなかったが、移植を受けられるのは、恐らく金持ち階級の者だけなのではないだろうか。医療格差、命の格差まで近未来では社会制度となってしまうのだろうか。まさか、・・・

 このような恐ろしい情況の中で、人はどう生きるかと言うことがテーマなのだろうか。あり得ない。ひどすぎる。

 かわいそうすぎる。

 生殖医療、生体の移植医療には、断固反対したい。
 
  ちょス飯の読書日記

 『桐島、部活やめるってよ』  ★★★☆☆

桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

 2009年 小説スバル新人賞受賞作品
 後に、映画化され好評を博した。地方(作者の地元岐阜のある地方だと思われる)の進学校の高校生達、ひとりひとりの放課後が独白の形式で成る短編集。
 桐島という、バレー部のキャプテンが部活をやめるらしい、というキーワードが物語のなかで、繰り返し語られる。

 青春時代とは、伊籐 整がかつて書いたように、きらびやかなものなどではなく、常に周りを気にして、似た者同士・意見の合うもの同士でまとまって、楽しいふりをしているものだ。

 日本の高校生の、ごく一般の日常なのだろう。確かに、美しい者同士目立つ者同士がクラスの上位にいて、下位の者とは口も聞かないし互いに影響しあわないのかもしれない。
 プロになるわけでもないのに、部活動に打ち込むのは馬鹿馬鹿しいのだろう。部活をサボるくせに、重い、大きな野球バッグをいつも持って登校している、菊池 宏樹。
 彼は、練習しなくても他のださい部員よりセンスがよく、試合に出るだけでよいと言われていたが・・・美人の彼女がいて、おま〇こも自由に出来る特権階級の高校生が、何かにうちこんでいる下位階級の同級生たちを羨ましく思う。その物語が、切なかった。
 ブラスバンド部の部長 沢島 亜矢が片思いす物語も、美しく切なかった。いつも見つめていた彼に、彼女がいても、奪ってもいいのに。だが、秘めたる恋は、その人を成長させるし豊かな人生の思い出となるのだ。

 日本人は、自分の意見を言わない。議論しない。周りに合わせる。ハブにされるのを嫌う。しかし、相手に合わせているのが仲間の条件なのだろうか。我慢して言葉を呑み込む、高校生の群像でもある。
 また、女の子が女の子に、男の子が男の子に芯から憧れ、好きになるというのも青春の一こまだと思った。

 ただ、桐島がどういう人物なのか、もっと知りたかったので、マイナス2★。
 自分の高校時代、40年前もそうだったかもしれないが、カースト制度はわが校では、成績順だった気がする。不細工でも、ベスト10に入る者は尊敬の対象で、ブスとハンサムの友人関係もあったし・・・。
 学校内での、カーストについては桐野夏生の『グロテスク』が名門女子高の差別をすさまじく描いていて、面白かった。