chosu-pampaのお客様

 久しぶりにインドネシア人女性と結婚した、K君一家が遊びに来た。
 こちらは、何度も誕生日会などに御呼ばれしてご馳走をたらふく食べていたので、たまには日本の家庭料理を振舞ってあげたいと、かねてから思っていた。

 張り切って夫婦で何ヶ月も前から、掃除や片づけを続け、なんとか部屋を広くした。
 前日から張り切って、料理を仕込むchosu-manmaだった。

 料理は、月給18万円の家庭にふさわしいものにした。

 スーパーの魚コーナーで、活きの良い鰯が一匹60円だったので「メインはこれだ!」と思いついた。
 お客は4人の子連れ。6人のお客とchosu夫婦の分として、8匹を料理の本のレシピどおり醬油も味醂も大匙で計り、慎重に煮た。

 きゅうりとなすの即席漬け、手作り伊達巻、金時豆の煮物、かぼちゃ高野豆腐しいたけこんにゃくの吹き寄せ煮、にんじんは梅の形に切った。即席五目の素でおにぎり、業務スーパーの二斤パンを薄切りにして、ハムと卵のサンドゥイッチ、牛肉とじゃがいもの煮物。

 chosu-pampaは、「料理は少なめに少なめに」という。ケチなのだ。食べ物を残らせたり、無駄にしてはならぬ、とうるさいがお客さんには、腹いっぱい食べてもらいたい。

 さあ、約束の1時。

 いつも約束時刻ぴったりに来るK君だったが、この日は少し遅れてきた。

 K君の長男が、県立高校の受験を終え、多分合格だろうということで、chosu-pampaが、再会と互いの健康、ご長男の高校合格お祝いの言葉を贈り、ラムネで乾杯!!

 だが、皆、魚は嫌いだと、鰯には箸を点けてくれなかった。骨があるから、面倒だからと、残念。

 K君は、何でも食べる男だったが・・・。結局K夫人だけが、「魚好きです」と食べてくれて、他のものもいろいろ食べて「おいしいです」と誉めてくれたが。

 残りの鰯は、家族で最後まで食べたが、これが旨いの何の。こんな旨いものを食べてくれないなんて、と憤慨するchosu-manma。

 まあいいや、そういう事もあるかも知れぬと牛肉のおかずも作ったのだから。インドネシアイスラム教徒の奥様のために、豚肉は出さなかったのだ。ハムは子供達に食べさせているということだったので、サンドイッチに使用したが。

 いや、待てよ。わたくし達夫婦はKの奥様の作る料理を得体の知れぬものでも、何でも「これはすごい、本当に美味しい」と平らげてきた。どうしても、相手を喜ばせたくなる性分なのだろう。

 他所の家に行ったときは、たとえ嫌いなものが出たとしても、我慢して最後まで食べるのが礼儀、という日本古来の礼儀作法がある。今の子供達には、好きなものだけ食べさせておけば良いということなのか。
 くそおお。
 
 chosuは、幼いころ帰省した時義母の手料理を「これは嫌いだから」と決して言わなかった。黙って最後まで感謝して食べていたっけ。おいしいし、真心がこもっているから。滅多に一緒に食事することない義母を喜ばせることが出来たのは言うまでもない。これが、当たり前だと思っていた。

 4人の子のうち次男は、もう付いてこなかった。次男は母親と仲が悪く、口をきかなくなっているらしい。

 3番目の、いつもひょうきんだった子は、なんだか暗い表情になっていて、他人の家のものを勝手に物色して回るのだった。そして、chosu-manmaが「これを読んでみて、これはすごいよ」と話しかけても、関心をもてないのか、すぐ飽きてしまう。11歳になって、思春期なのだろうか。家で朝遅く食べたからと、何も食べないのだった。食いしん坊で肥満児だが・・・。彼のために、おいしいものを、と頑張ったのに。食べないことが、ホストの心を踏みにじるということが、分からない。
 昨夜は、カレー粉から作る本格チキンカレーを作ったので、以前に「カレーが好きだ」と言っていた彼に勧めたかったのに。「何もいりません」と母親が言ったので、美味しいカレーを出してあげられなかった。
 またK夫人は、自宅からたくさんの五目御飯や焼き鳥、手作りのインドネシアのお菓子と紙皿まで持参していた。「たくさん食べると迷惑だから。洗い物が大変だから。」という。悲しかった。

 しかし、「わあ、ありがとう」と応えてしまうchousu-manma。

 ところが、K夫人も、4番目のLちゃん(6歳)もおばあちゃん(chosu-manma)に話を聞いてほしい、おままごとをしようと、もてなしに忙しいchosu-manmaにまとわりつくのだった。

 そうか、食べ物を食べることがそれほど大事なのではない、一緒に話したり、遊んだりしたかったのだ。

 それにしても、K君家族の孤独を感じた。

 3番目の子は、ゴリラの絵を描いて「自分だ」と言った。教室でそういわれているのかもしれない。

 帰りがけに、こどもたちに1000円ずつぽち袋に入れて、今回は長男に2000円の図書券、いじけている次男に500円の図書券をおまけして、末娘には500円玉を上げた。
 
 すると、K夫人が「今働いているから」と「chosu-manmaちんへ」と書いたミニーマウスのぽち袋をくれた。中には5000円も入っている。びっくりぽち。

 彼女は徹夜で食品会社で働いているのに、そんなもったいないこと。
 「その、思いはありがたいが、これからは止めて下さい。
 年下の者は、年上の人にお金をやってはいけないよ」、とメールを出した。