ちょス飯の映画評

 『寄生獣 完結編』   ★★★★☆
 原作の漫画、テレビアニメ、そして映画を立て続けに見ていったので、内容がごちゃ混ぜになってしまった。

 が、人間が動いて描く人間版『寄生獣』もなかなか面白かった。

 漫画のセリフそのままの脚本部分も多いが、人間の子を出産して育てていたタミヤリョウコの、変貌を深津絵里が好演していた。
 
 赤ん坊を守って死んでいく場面は、泣けた。そして、最期に笑うことを覚える場面。人と他の生き物の異なる点は、まさしくワラウ点だ。

 ゴトウとの戦いは、もっとゆっくりためを作ってほしかった。

 マンガには無かった、ゴトウのセリフもイカシていた。「人間の敵は人間だ。人間が増えすぎて、困るのはお前達人間だ」

 映画は3部作にして、もっと新一のゆっくりしている場面も入れたい。

 決戦の場面は、ゴミ処理場というのが良かった。放射能汚染の物質は、宇宙から来た侵略者にも有効だ。

 市長の演説は、作者の主張かもしれない。真に人間にも天敵は必要だ。

 ただ、愛するものを殺されたくない、守りたい。だから、新一がゴトウが復活できないように、トドメを場面はヒーローものなら何でも無い当たり前の行為だが、観客は彼の葛藤に共感する。

 三木役のピエール瀧さんが、可笑しかった。首だけになって、ちょんちょんと跳んで、ゴトウの右手に吸収される場面も、超グロテスクで面白かった。
 
 最後に、人間の殺人鬼(原作では、弄んだ後、ばらばらに切り刻んで人肉を喰らう男)が、「オレが普通だ。人間は人を殺して、生きてきた。それが人間の歴史だ」と、言う。ずしんと来る。

 新一の彼女里美が、殺人鬼に殺されそうにになるが・・・。

 ラストは、本当に良かった。ミギーありがとう。

 人間は、食欲を満たすだけで生きていけるものではない。暇だからかもしれないが、他の事象にも心を配ることが出来る。

 そして、他の生物の生き死にに涙を流せるのだ。そして、多くの人間が集まって、ひとつの生き物のように動くものなのだ。

 だが、・・・。自国のみの幸福を求めるための、戦争は止めよう。