ちょス飯の読書日記

 『善魂宿』  ★★★☆☆

善魂宿

善魂宿

 世界遺産の飛騨高山にある合掌作りの家に住む、母子が一夜の宿を借りに来る旅人の、昔話を聴く。それぞれの、話につながりがあり、大勢で暮らした家から家族がだんだん町へ出て行く様子が分かる。

 「侍の妻」の章は、切腹の様子が克明に描かれていて、グロテスクな中に、ユーモアがあった。
 夜這いや「性」教育を、おじさんが若い娘に教えていくところ、きょうだいで性交しても、異常とも思えない過疎の村の暮らし。

 餅のなる樹の餅の実を食べたから、かかあはひとり残り、息子には旅立たせるという。

 限界集落は、こうして消滅していくのだろうか。

 常民の暮らしを、坂東も聞き書きしたかったのだろう。やや小粒な展開だったので、星マイナスふたつ。