ちょス飯の映画評
『新幹線大爆破』 ★★★★☆
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
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ただ、新幹線博多行きひかり109号に爆弾を仕掛けて、乗客1500人を人質に500万ドルを、国から身代金として奪取しようとする、この大それた犯罪に対して、それを3人に決意させた動機が、不十分だ。
やはり、健さんは悪役に徹することが出来ない。
真面目にこつこつ働いてきても、事業に失敗すれば、身ぐるみはがされてしまう。中小企業の部品製作所の社長だった健さんと、学生運動の元闘士山本 圭、沖縄から東京へ来て、就職したが働いていたところが倒産し、転職を繰り返している若者 川地 民生。この3人が、自暴自棄になり、自分たちを「負け犬」だから、誰も殺さず大金をせしめて起死回生を図ったのだとしても、荒唐無稽すぎる。
金ほしさだけで完全犯罪を計画することは、果たしてできるものか。まして、実行に移すことは・・・。
その、激しい葛藤や苦悩が省略されてしまっている。
3人とも、善良すぎる。もっと鬱屈した、怨念と狂気がなければこのようなことは計画できない。
一方、嬉しそうに晴れ着を着ている乗客や、ビジネスマン、でんでこでんでこと太鼓を鳴らす宗教の信者達が、だんだんパニック状態になってくるところや、新幹線の管制センターで宇津井 健が「乗客の命優先」と必死に運転士の千葉 真一に指令を出すところは、迫真の演技で凄まじい。
警察、政府は1500人の乗客より、北九州工業地帯やその付近のより多くの人命を優先すべしと言うが、それに異を唱える国鉄側。
仕掛けられた爆弾は、時速80kより減速すると自動的に爆発するという。
米国映画『スピード』はこれを真似したのだろうか。爆弾を外すための道具、酸素ボンベを、後ろから追わせた新幹線から、時速を100キロに合わせて併走させて、梯子をかけて渡すところは凄かった。これも、パクッたのかい。
また、最近テレビで古畑 任三郎の再放送があり、丁度江口 洋介が電車乗っ取りの犯人役の回だったが、これは、この作品へのオマージュだったのだろうか。
健さんは、オートバイに乗っても超かっこよかった。道路工事夫も、釣り人も、スーツ姿も・・・。
ラストは、アメリカ映画の『明日に向かって撃て』みたいですごくかっこよかった。
犯人からの要求は、すべて青い公衆電話が使われていた。もっと緻密に、人も雇ってこの犯罪を完遂させてやりたかった。つまり、犯人側に肩入れしてしまった。警察が、犯人を騙そうとする場面、空港での場面はほろり。
家人は、臭すぎる「つまらぬ」とぼそり・・・。一般ピープルはこの場面に、感涙するものだ。
産気づいた妊婦の胎児が、死亡したのは悲惨だった。助かって欲しかった。
日本の警察は、あまり発砲しないものだが・・・。拳銃を射ち過ぎ。オールスター映画の伝統なのかな。