ちょス飯の読書日記

 『梟首の島』上・下    ★★★★★
 

梟首の島〈上〉

梟首の島〈上〉

 
梟首の島〈下〉

梟首の島〈下〉

 明治維新のことを、日本史で習ったが、実際はどうだったのか。よくよく分かった。無論、史実に物語を混ぜて書かれているが・・・。

 歴史上の大人物、板垣退助植木枝盛岩倉具視がどんな人だったか、面白く描かれていて興味深い。
 
 舞台はロンドンと高知。時間軸がロンドンの方は現在、高知は20年くらい前から、一章づつ交互に物語が書かれている。

 最後に、ぴたりと二つの物語が重なるところ、がすごい!!

 自由民権運動の地となった高知の田舎に暮らす岩神むめ、長男大洋、東吉親子が主人公。むめが女性の自由について目覚めていくところ、爆裂弾を手に演説するところは、すごかった。

 東大へ進みロンドンに留学した大洋が、切腹自殺するところから物語が始まるが・・・。何故、自殺したのか、その謎解きがそのまま、日本と西洋の文化の違い、それを受け入れることのできない留学生の苦しみを露にしていく。

 東吉は、真に自由に暮らせる無人島を目指して船出していく。

 タヒチに住んだ作者の願いは、国家からの自由だったのだろうか。
 おまい様という、猿顔のおばあさんが非常に重要な人物であることが、最後に分かる。

 梟首(きょうしゅ)とは、斬首した首を木に載せて晒すこと。
梟首の島とは、どこのことでしょう。読んでみて欲しい。