ちょス飯の読書日記

 『遠野物語』    ★★★☆☆
 

 文庫版なので、もうろくした眼には読み辛かった。ひとつひとつの物語が、きっつきつで行も空けずに続いているからだ。

 氏神、土地の神、妖怪のようなもの、幽霊、人魂?
 人を騙す狐、狸、山に住む大男などなど。

 山間の村には、豊かな人以外のものであふれている。しかも、本当にあった話なのだ。

 非常に興味深く読んだ。

 死にそうな人が、体を離れて会いに来たり、離れていても愛するものが死ぬ瞬間を察知したり・・・これは、本当にあるのかもしれない。

 貧乏だったものが、ある不思議な力で金持ちになったり、逆に金持ちがあることがきっかけで貧乏になったり、・・・人々への戒めで正直に生きろ、という伝承なのだろうか。

 津波で亡くなった妻が、結婚前に好きだった男も死んだので、今はふたりで夫婦になって暮らしている、と生き残った夫にいう件は、切なかった。

 死産災害で、あっという間に亡くなってしまった人々の魂は成仏できず、死んだことを知らないかもしれない。