万屋のおばさん

 近所の万屋のパート店員、75才のおばさんは優しくて可愛い人。
chosu-manmaが、こんなものを作ったよ、と店へ見せに行くと「きゃあかわいい、欲しい、いくら?」と矢継ぎ早に尋ねるのだった。「ええっ、本当に買ってくれるの?」

 半信半疑で、これは見本。もう少し作って持ってくるから、いいのを選んで、と言うと、孫にやりたい、お雛祭りに飾る、と言う。


 必死に仕上げるが、出来たのは3月3日夜。

 4日当番の時、友人に見せたいので「非売品」と札を付けて、陳列後、5日、おばさんに見せに行くと、本当に買ってくれた。4000円まるまるの儲けだ、材料費と労働賃金を引くと0かもしれないが・・・。


 ありがとう、そのおばさんの喜ぶ姿が、私をまたさらに喜ばせるのだった。芸術とは、これなのだろうか。人形にはおばさんの名前を付けた。「3月3日生まれ・働き者で、優しい子。でも、勉強は苦手」とプロフィールも付けた。