ちょス飯の読書日記

  『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』★★★★☆

 最愛の息子を17才まで順調に育ててきて、突然失った母は、どうやて正気を取り戻していくのだろう。他のきょうだいは、誰もその子の替わりにはなれないが、・・・。再婚同士の夫婦とそれぞれの連れ子4人のうち、一番母が愛していた長男が、雷に打たれて突然に死ぬ。

 ただひとり母親と血のつながらない次男は、きょうだいの中で、一番母親を愛している。

 残された3人のきょうだいの語りで3章、長男亡き後の暮らしが綴られる。最後の第4章は「皆」。

 母がアルコール依存症になって行くが、父も子ども達も皆それぞれに助け合い、母を支える。

 母親は亡くなった子を思うあまりに、夫や子ども達のことに気遣いができなくなってしまう。

 死んだものも、生きているものの幸せを願っているだけで、まさか、ここまで家族を苦しめているとは知らないだろう。

 大切な人を亡くしても執着していては、成仏できない、と仏教で教えているが、まさにそのことを描いている。
 母親が、正常に戻りましたという終わり方ではないが、希望の持てる作者の答えが書いてあった。

 3.11で突然愛する人々を失った人、自死や事件事故で亡くした人々に対するエールなのかもしれない。
 
 やや、物足りない展開。なので、マイナス1★