ちょス飯の読書日記

 『想像ラジオ』 ★★★★☆

想像ラジオ

想像ラジオ

 死んだ人にも、意思と言葉がある。そして、生きている人にも死んでいる人にも、死につつある人にも、死んだけれどそれに気づかない人にも伝えたいと思っているかもしれない。

 確かにそうかもしれない。

 神様のまぶたをひきちぎって、この惨状を見せたい、という場面は恐ろしかった。神様が天災を起すのだろうか?人が原発事故を起したのだろうか?

 やけどをした男の子を、じいさんが抱きしめて眠った話とお父さんの命を車から守ろうと、道を歩く時右や左に立とうとする子どもの話、そして皆の幸せを願って、ぐるっと回る勇者の話に、涙がこぼれた。

 3.11で突然波に呑み込まれて死んでいった人々のことを、想像してみた。・・・・恐ろしくて、なんも言えない。

 

 しかし、作者は想像したのだ。

 作中に出てくる曲名はデイドリームと愛のメモリー以外知らない曲ばかりだったので、検索して聴いてみた。

 最後のボブ・マーリーの歌う「リデンプション・ソング」を検索して、その訳詩を読み驚いた。
 随分前から、彼は原発に反対していた人だったのだ。

 いとうせいこうがこの曲名を書いたので、有名な賞を取れなかったのではないか?