ちょス飯の読書日記

 『アラベスク』第一部(1巻から3巻)  ★★★★☆
 背の高さに悩み、内気な主人公ロシアのキエフに住む少女ノンナが、そのおとなしいキャラで周囲から助けられて、成長していく。

 この本格的なバレエ漫画を中学生の頃読み、熱狂していた。

 40年後にまた読み返すと、人物の絵がややアンバランスな描き方だったり、稚拙な気もする。しかし、当時の少女達は月刊誌連載だったので、一月も続きを待たねばならず、のた打ち回ったものだ。

 当時、主人公や重要な脇役が白血病で死ぬことがよく少女マンガに用いられていたが・・・。パリの踊り子マチューがあっさり死んでしまったのは悲しかった。

 人は死ぬが「芸術」は次のものに引き継がれていく、と言うことなのか。

 自信を持てず、常におどおどしているノンナが、現場から逃げ出したりするが見ず知らずの人に助けられ、そして努力して才能を認められていく。現状に満足しない者・汗を流して努力し続けるものが、もう出来上がってしまっている天才に勝つのだ、というメッセージは、平凡な読者に勇気を与えた。