ちょス飯の読書日記
『月読』 ★★★★☆
- 作者: 山岸凉子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1996/08
- メディア: 文庫
- クリック: 28回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
古事記を元に山岸先生の解釈で描いた、おどろおどろしい短編集。他に、水の妖精「ウンディーネ」を現代の北海道の沼に蘇らせた短編も収録。
絵が美しく、恐ろしい。女性漫画家がギリシア神話や日本の神話を元にした物語をよく描くが、元の古事記を読んでいない私。
一度しっかりこの国の始まりの物語を読もうと思った。
アマテラスオオミノカミ様もツクヨミノミコト様もスサノオノミコト様も、非常になまなましく、またなまめかしい。
表題作は、頁が不足したかのように終わっている。もう少し終わってからの余韻の頁がほしい。
『木花佐久夜昆売』(このはなさくやひめ)の、典子が優秀な姉と比較され非行に走ろうとするが。その悲しみに気づいてくれる人に出会い、はらはらと涙する場面。『イグアナの娘』を思い出した。
親が何気なくいう言葉でも、子にとっては大変な傷を負わせることがある。ごく普通の家庭の一般的な会話だとしても。また、親にはなんら悪意も無い。
美しいが、散っていくはかない花と、醜いが永遠の命を持つ石。
男は無論美しい方を選ぶだろう。
これを姉妹にたとえた古事記・・・古代の人のセンスに、はっとさせられる。読んでみよう。
雑誌掲載時の大きいサイズで読んで見たかった。
人体のスケッチの確かさ、華麗な背景の描き込みに耽溺。