ちょス飯の読書日記

 『先生のあさがお』  ★★★★☆
  

先生のあさがお

先生のあさがお

 とても静かな随筆集。著者の本を初めて読んだ。
 医師は特権階級と思っていたが・・・・。南木氏は、内科医で芥川作家でもあるが、非常につつましい暮らしぶりである。
 地元の、土建業の人たちと鮎釣りをしたり、山登りをして、酒盛りもしている。

 表題作の「先生」は高名で優秀な外科医だった。だが、なんともこうべを垂れた人で、患者から慕われ尊敬されていたが、「戦争に行きたくないから医師になり、戦死した人にうしろめたいから、肺の手術に没頭していただけだ。」という。
 あさがおを咲かせて、心から喜んでいる人だった。

 種、双葉、蔓、花・・・とあさがおの成長が一章ごとの題名になり、作者の記憶の中の先生の言葉、周りの人たちの語る先生が描かれる。
 
 それにしても、陰茎、陰嚢、ベッチョなどの言葉がさりげなくほがらかに書かれているので、☆4個

 183頁
 夏の朝にさあ、こうやってあさがおの花見なんぞできてさあ、おらあ、他に望むものはねえぞ。