ちょス飯の読書日記
『先生のあさがお』 ★★★★☆
- 作者: 南木佳士
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/08/09
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
とても静かな随筆集。著者の本を初めて読んだ。
医師は特権階級と思っていたが・・・・。南木氏は、内科医で芥川作家でもあるが、非常につつましい暮らしぶりである。
地元の、土建業の人たちと鮎釣りをしたり、山登りをして、酒盛りもしている。
表題作の「先生」は高名で優秀な外科医だった。だが、なんともこうべを垂れた人で、患者から慕われ尊敬されていたが、「戦争に行きたくないから医師になり、戦死した人にうしろめたいから、肺の手術に没頭していただけだ。」という。
あさがおを咲かせて、心から喜んでいる人だった。
種、双葉、蔓、花・・・とあさがおの成長が一章ごとの題名になり、作者の記憶の中の先生の言葉、周りの人たちの語る先生が描かれる。
それにしても、陰茎、陰嚢、ベッチョなどの言葉がさりげなくほがらかに書かれているので、☆4個
183頁
夏の朝にさあ、こうやってあさがおの花見なんぞできてさあ、おらあ、他に望むものはねえぞ。