温度差

 アマリリスが咲いたとき、真っ先に思った。貧友の「かやっち」に、見せたいと。花の紅さに、どんなに喜ぶだろうかと。

 だが、彼女は毎日パート務めで忙しい。彼女のダンナは鬱陶しい人なので電話もはばかられた。かやっちは携帯を持っていない。そうこうするうちに、だんだん花がしなびてきた。

 思い切ってメモ書きを彼女の家のポストに花のことは秘密にして、「見てもらいたいものがあるから、時間に余裕があるとき来て欲しい」と書いて、入れておいた。
 部屋を、掃除して返事を待っていたら・・・

 夜、「この3日は仕事で無理。10日なら早番なので3時過ぎに」と電話がかかった。うーん10日じゃ、もう枯れとるやんけ。と思ったが・・・いかに自分がのんべんだらりと日々を過ごしている、不逞の輩なのかと思い知らされた。

 こんな良いことがあったよ、嬉しかったよ。バスツアーの花見の貧乏臭かったこと、塞翁爺のはなし、テストで100点取ったこと・・・いろいろなニュースを伝えたかったが・・・
 彼女は、人手の足りない職場で必死に働いていたのだ。小さな身体で、独楽鼠の様に。ごめんなさい。

 自分は、彼女より100万円賃金が少ないが・・・このところ、喜びに満ちている。自分が嬉しいと、彼女にも伝えて喜ばせたいと思う。だが、彼女は他人の幸せなんか、関心ないのかもしれないし、嬉しがってくれるどころか、憎悪も抱いていい立場なんだ。

 あほうなchosu-manma。10日どうしようか。