ちょス飯の読書日記

 『人間のおへそ』★★★★☆

にんげんのおへそ (新潮文庫)

にんげんのおへそ (新潮文庫)

 
 高峰秀子の老後のエッセイ。女優時代の思い出や、日々の暮らしで出会った事、人のお話。
 小学校へもろくに通えなかった、というが本当に分かりやすい文章。ぽんぽんと書かれている。
 魚屋で出会った、乳母車に乗った子どもがだんだん成長して大きくなるが、車椅子に乗って母に押されている。他人から同情されたくないだろう、自分はもう会わないことにしよう、と決める。芸能人が、慈善活動すれば誉められるが、・・・
 彼女の優しさ、正直なきりっとした心を知った。

 母親には、金ずるとして利用され、逆らえば憎まれる。結局最後まで面倒を見て亡くなった時に「ほっとする」。
 歩行困難になった母を、看病するが自分の見ていないところでは、さっさと歩いていたり・・・嘘つきな母に振り回されたところがおかしかった。わが実母も、高峰の養母に似ている。