人間万事塞翁が馬

 禍福は糾える縄の如し
 この、諺・故事を実感した。
 知人は、念願のマイホームを息子に建ててもらい、二世帯同居を始めたが、嫁に貧困をなじられ浮気までされて、ある日孫も連れて逃げられてしまう。
 当時持病が悪化していたが、瀕死になるまで入院せず一月ほどで急死。まだ70才だった。
 お調子者で、おおぼらふき。金はなくとも人のために尽くすことが大好きだった。腕はなくとも日曜大工が趣味で、他所の雨漏りを只で直してくれる。

 しかし、見よ。彼の娘の次男は選抜大会に出場した。いよいよ甲子園で投げる。大勢の部員の中から抜擢されたのだ。知人よ、甲子園に行って孫息子の活躍を見て欲しかった。失意のどん底に在っても、自分の体を大切にして欲しかった。生きていれば必ず良い事がめぐりめぐっている。今は辛くとも。
 中島みゆきの歌の通りに。