ちょス飯の読書日記
『共食い』 ★★★☆☆
- 作者: 田中慎弥
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/01/27
- メディア: 単行本
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どぶ川の周りに住む人の暮らし。臭気が漂う。
性交のとき暴力を振るい、自分の快楽を第一に生きている父。父を憎み、自分は父のようになりたくないと恐れている遠馬の葛藤。
うなぎが釣れた時のグロテスクな描写。気持ち悪くて、これが彼の性欲を増させる。・・・・
父の悪ぶりが、『血と骨』で描かれていたが、あちらの方が100倍凄まじいので
☆2つ。
仁子さんが、片腕で魚屋をやり自立している。息子を最後に助けるところに感動した。
同時収録されている『第3紀層の魚』は★★★★☆。
寝たきりの曽祖父と父親のいない小学4年の孫息子が、死別するまでの短編。
じいさんにチヌを釣ってやりたいと意気込む主人公。乾いた書き方で、いろいろなことが、少年の眼を通して書かれているので、読み手は分からないまま。
だが、じいさんはオムツを替えられながらも、毅然とした態度をとり、血のつながらぬ嫁(自殺した息子の妻)に看病されて、孫息子にも愛されて幸せだった。
一つだけ気がかりだったのは、お国からもらった勲章を子どもの頃の息子が
無くしてしまったこと・・・
死ぬまで、気がかりなことがあり、周りは満足させてあげたいと思う。
よく分かる。