ちょス飯の読書日記

 『共食い』 ★★★☆☆ 
  

共喰い

共喰い

 主人公遠馬の生みの母・仁子さんが凄まじく強くカッコ良かった。
 どぶ川の周りに住む人の暮らし。臭気が漂う。

 性交のとき暴力を振るい、自分の快楽を第一に生きている父。父を憎み、自分は父のようになりたくないと恐れている遠馬の葛藤。

 うなぎが釣れた時のグロテスクな描写。気持ち悪くて、これが彼の性欲を増させる。・・・・

 父の悪ぶりが、『血と骨』で描かれていたが、あちらの方が100倍凄まじいので
☆2つ。

 仁子さんが、片腕で魚屋をやり自立している。息子を最後に助けるところに感動した。

 同時収録されている『第3紀層の魚』は★★★★☆。
 寝たきりの曽祖父と父親のいない小学4年の孫息子が、死別するまでの短編。
じいさんにチヌを釣ってやりたいと意気込む主人公。乾いた書き方で、いろいろなことが、少年の眼を通して書かれているので、読み手は分からないまま。
 
 だが、じいさんはオムツを替えられながらも、毅然とした態度をとり、血のつながらぬ嫁(自殺した息子の妻)に看病されて、孫息子にも愛されて幸せだった。
 一つだけ気がかりだったのは、お国からもらった勲章を子どもの頃の息子が
無くしてしまったこと・・・
 死ぬまで、気がかりなことがあり、周りは満足させてあげたいと思う。

 よく分かる。