ちょス飯の読書日記
『緑の毒』 ★★★★☆
これは、面白い!!
医者と一人暮らし貧困女性の対比。医者になれば、安泰の世は終わったのだ。個人医院や病院経営の苦難。医師の世界にもヒエラルキーがあるのか。
・・・川辺が若作りで、服や靴のお洒落に余念がないところが可笑しい。また空手家のVシネマスターのナルシストぶりが、滑稽だった。桐野の短編に、仁義なき闘いに心酔した、チンピラの話があるが・・・あれも可笑しかった。
ただ、開業医川辺の妻で勤務医のカオルが、第一章では。眼と眼が離れていて、鼻があぐらをかいていると描かれているのに、後のほうでは「美人」とされているのは腑に落ちない。
2003年12月から2011年5月号までの長きに渡り、各章がときどき『野生時代』『小説野生時代』に発表されているので、途中で設定を変えたのだろうか。故にマイナス1★。
小説に登場するのは、美人が良いと思う。
医者が、一人暮らしの女性の部屋へ窓から入りスタンガンと薬を使ってレイプして、浮気している妻への嫉妬を晴らしている。
だが、レイプされたことに、朝起きて気付いた彼女らは、泣き寝入りしない。
初めは、大変なショックと憤りを覚え、自殺したいと思う。だが、現代には被害者のネットの書き込みサイトといういものがあった!!
犯罪被害者が、集まり顔を見せ合い同情して支援してくれる人と出会う。
奥田英郎の作品か、と思えるほどユーモアたっぷりだ。桐野は、いつも女の憤懣や差別される悔しさを書く。男の哀れさも。
金持ちで美人・優秀な女への怒りがぶちまけられる。
「あんたのせいで、亭主がレイプ魔になったんだ!!」これは、胸がすく。
彼女は、喫煙者だったが・・・効果的に女たちがタバコをすう場面が使われている。
でも、喘息持ちだと聞いている。どうか、タバコを減らしてね。桐野先生。信奉しています。