豆一筋

 11月6日
 急逝したS叔母の一周忌。彼女の遺影を飾り読経。二人の娘と孫娘と一緒にお雛様の前で「どや顔」だ。自分で買ったのだろう、大きな豪華絢爛たる夫婦雛の金屏風だけが写っている。
chosu-pampaの誕生日祝のプレゼント(コーヒー豆100g)をもらえるというので、「豆一筋」親父のカフェへ行く。口下手だが、豆ひとつぶひとつぶを、ものすごい集中力で見つめて選んでいる。ケーキも割引してくれるので頼んだ。狭い店には、自家焙煎の小さい機械。店の中はどこもピカピカで、豆の袋をパーテーションや壁に飾ってある。素敵な絵や写真。店の前の鉢植えも、どれも生き生きとしていて美しい。
美味しいコーヒーをchosu-pampaと飲んで、毎朝喫茶店に通っていた叔母を偲んだ。
 新しい若い給仕男性がいて、今月のお買い得豆「ブルボン・ピーベリークラシコ」とは、どんな味ですかと尋ねてみると、引っ込んでいた「豆一筋」親父が、飛び出してきて、香りが強いブラジルコーヒーで酸味は少ない、と言う。「chosuさんは、元気ですか」とおやじは訊いた。
 この質問は哀しい。皆が、訊く。
 「元気は元気ですが・・・」言いよどむchosu-manma。
 彼は、コーヒーなど家でインスタントを飲めばよい、金を無駄使いするなと言っています、とは言えない。
 いや、彼なりに「自信をつけたい、そして就職するための準備を日々している」、と思おう。
 
 5日
 外国語教室。隣の席のいこさんが一度自宅に来てほしいと言う。いこの隣の、がんちゃんが「自分の町に文化祭の作品展を見に来ないか」と彼女を誘っているのに・・無視して・・・75才にもなると、あまり自分を良く見せなくても良いのかな。大学教授の未亡人。「絵を習っているので、その日以外なら」というと、「まあ、丁度いいわ。良い絵があるから見せて上げる。」と、女学生のよう。かわいい。わがままなお嬢さん。
 しかし、chosu-manmaの思い人は、ねこさん。80才以上に見えるが、貴婦人のように美しい。鶏がらのようにか細いけれど。彼女も電車を利用されることが判明。講座が終わるまでには、一緒に駅までの3分間だけでも、話してみたい。
 一方、嫌なのは、がんちゃんだ。がんちゃんは、学友同士で、ランチを食べた時、何故か海外旅行に何度も行ったとか、裁縫が得意なことや、ミシンを4台も持っていることを話すので。なんか、聞きたくないことを、知らされて面白くない。