ちょス飯の読書日記

 『ドーン』  ★★☆☆☆
      

ドーン (100周年書き下ろし)

ドーン (100周年書き下ろし)

 アイテムと事象と新しいシステムと登場人物が、他事多彩にわたり過ぎて、読み手の私は、フリーズしてしまった。
 近未来SFだが・・・・。多岐にわたって書きすぎている。

 火星がどんな星か、人類は何を求めてここへ向かったのか・・・むしろ、そのことを主題にして壮大なスケールの作品にしてほしかった。

 あまりに多すぎる、そのひとつひとつが一作品にできる濃密なテーマ。
 
 「殺人蚊ニンジャ」「東アフリカ紛争」「民営戦争」「妊娠中絶」「宇宙船内での性交」「散影」「幼な子を失う」「人種差別」「民主主義と戦争と大統領選」「宇宙開発とレアメタル争奪戦」「親子間の葛藤」「優秀な女の孤独」「マスコミ」「貧困」「夫婦愛」などなど・・・・・

 もう少し単純化して、大らかにゆったり分かりやすく書いてほしい。「ため」がない。

 個人の死を悲しむことが出来るのは人だけ・・・・という件はすばらしかった。ゴダイゴの歌ったビューティフルネームを思い出す。
 ひとりずつひとつ、ひとりずつひとつ、・・・・。地球人には名前がある。美しい名前が。

 東北関東大震災で二万数千人もの人々の命が消えた。
ひとりひとりに名前があり、暮らしがあった。

 生延びた人たちにどうかどうか、神のご加護を。