ちょス飯の読書日記

 中村 文則著『悪と仮面のルール

悪と仮面のルール (100周年書き下ろし)

悪と仮面のルール (100周年書き下ろし)

 ★★★★☆
 悪とは何か。この作者のいつも追及しているテーマ。怖い。
 怖いもの見たさで、一気に読んでしまった。
 私が、男なら金玉がちぢみあがっただろう。
 <ネタばれ注意>
 松本清張も、こどもの殺意を描いているが・・・・・
 こどもが、大人を欺くためにこどもっぽいふりをする。そして、相手が騙されるとやや安心する。周囲を欺き、油断させる自分を演じる。これは、怖い。

 あまりにも恐ろしい、冒頭。父が「僕」に言った。「世に悪を生す為に、お前を生ましめた。14才になったら地獄を見せる」とは。
 愛するもののために、障害を除く。そのものと結ばれなくとも、思い続けて生きる。純愛物語でもある。
 
 戦争の作り方の話には、驚愕した。戦争はすべて、利権のための民営戦争だという。これは、本当のことなのだ。本当のことは「怖い」。
 しかし、武器商人でもある父たちは金がほしい訳でもない。自分が死ぬのに、この世が終わらないのが気に食わないだけなのだ。

 日本の首相に「郷ひろみのものまね強要」を目的とする政治家テロが起きる。やらなければ「髪の薄い順に殺す」ときた。これは、少し可笑しい。

 ただし、講談社発行らしく最後は、ほっとできる。