ちょス飯の読書日記
万城目 学 『プリンセス・トヨトミ』 ★★★★☆
- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/02/26
- メディア: 単行本
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空想科学愉快不思議物語。大阪人は、豊臣秀吉がすっきやでーという物語。どこを読んでもくすりと笑える。けれど、謎解きの物語でもあり、スリルがある。父と子のふれあいの物語でもある。
一方、なんでもないことを大げさに書いている節もある。
男として生まれた、真田大輔がどうしても学生服ではなく「セーラー服を着たい」と思う。巳神様に毎日「自分を女の子にして下さい」と拝んでいる。
本当になりたい自分になる、自分の考えを分かってもらえるまで通すということは難しい。
ここが、物語のテーマだろう。
何故か、皆大輔の気持ちを少しずつ分かるようになる、認めようとしていく。・・・性同一性障害のことがまったく深刻ではなくさらっと書かれている。
それにしても、会計検査院という機関があり三権からも独立していると言うことはまったく知らなかった。大阪のOJOを調査に来る三人は、それぞれ非常に面白い役人だ。いや、描き方がおかしい。登場人物は全員真面目に普通にしているのだろうが・・・滑稽な筆致である。
登場人物が戦国時代の武将の名前を少しずつ変えてあるのも可笑しい。
最後に、ドンデン返しがあるが、これはひねり過ぎ。・・・・なくても良かった。「女はなんでも知ってる。」けれど知っていることを隠している。とは名言だ。