ちょス飯の読書日記
土屋 賢治 『貧相ですが 何か?』 ★☆☆☆☆
- 作者: 土屋賢二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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男の身勝手な言い分というか・・・。女の優秀な人としか接していない秀才、社交界の人のたわごとかしらん。
冗談なのか、本気なのか深遠な哲学的エッセイなのか・・・。
天童 荒太 『悼む人』 ★★★☆☆ ネタばれ注意!
- 作者: 天童荒太
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/11/30
- メディア: 単行本
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悼む人・坂築 静人と随伴者・奈義 倖世が殺した甲水 朔也の人物像はやや作られ過ぎ。リアリティがない。
あまりに無残に殺された人や、偶然の事故で死んだ人をその現場で悼みたい、その人を覚えていたい、死者はそれを望むという。死者の願いが「静人」を動かしているというが・・・。これは、無宗教ではできないことだと思う。
自分に無関係な人々を悼むが、自己満足のためである。
「死者を記憶する」が自分は見返りを求めない。自己資金で、野宿しながらバスや徒歩で日本中回る。これは・・・・静人の中に天国があるということだろうか。
甲水 朔也は、ときどき物語りに現れる大悪人の典型。ただ何故「殺されて死にたい」のかが理解できない。たとえ母に捨てられたとしても、自分は愛する人を見つけて平穏な家庭を築いている人がほとんどだろう。母への妄執、復讐なのか。「殺させるために、一番自分に不釣合いのミスキャストな女を嫁にした」とは・・・なんという言い草か。これはありえない。リアリティがない。母への妄執が悪行の根源にあるというのは、単純すぎるのでは・・・。『告白』もそうだ。『模倣犯』も・・・
皮肉なことに、刻々と彼の母順子の癌死がせまる。克明に病状の悪化と、それを受容しながら明るく日常を暮らす姿が描かれる。この淡々とした死に行く情景は素晴らしい。
さらに奇行としか見えぬ静人の「悼む旅」が、妹の破談を招く。しかし、妹の胎内にはフライングベイビーが。母が死ぬのが早いか、赤ちゃんが生まれるのが早いか・・・。母が一番会いたい息子は他人のために悼み続け、帰宅しない・・・
ぱんぱんに腹の膨れた妊婦の娘とがりがりにやせ細った母が入浴すると、胎内の赤ちゃんが、ばばちゃんに向かってキック。ここは涙涙。
昭和20年8月6日。今治に空襲があった。これはまったく知らなかった。『永遠の仔』でも四国の石鎚山(いわずちさん)が出てきた。天童氏は愛媛県生まれだったのか。
静人に出会った週刊誌記者の蒔野 抗太郎が、中学生娼婦の亭主達にぼこぼこにされて穴に埋められ「殺されるとはこういうことか」と観念してから、再生していくところや、奈義 倖世が愛と執着は違うと悟り、愛し合えるようになった直後に静人と別れて行くところは納得した。ただ、倖世は、もうすこし愚かなほうがリアリティがある。
登場人物のネーミングは、それぞれ思い入れが強すぎる。