ちょス飯の読書日記

 奥田英朗著 『東京物語』 ★★★☆☆
  

東京物語 (集英社文庫)

東京物語 (集英社文庫)

 甘酸っぱい青春グラフィティ。著者の自伝なのだろうか?
最後の二章が秀逸。「男より背の高い女は嫌われる」と思い込む女性が、主人公の言動によりハイヒールを脱いだり、履いたりする。名古屋の「家族愛」が、全国的には「オカシイ」と書いてあるが・・・・。そうだっけ。ああ、そうかもしれない。嫁入り道具をしこたま持たせたり、派手にしないと他人様に笑われる、と思い込んだり・・・・
 最終章は、バブル全盛の「粟つかみ」の不動産屋が哀しかった。ベルリンの壁崩壊、松田優作急逝、名古屋オリンピックの幻が同じ年に起きていたのか・・・。ジョン・レノンが銃弾に倒れた年、キャンディーズが解散した年に主人公は上京し、ローリング・ストーンズが来日する年までの12年間の東京物語。恋愛の場面は少ない。仕事も下手を打ったところが多く描かれているが・・・。何を食べたか、どんな服装か。そのとき糞がしたいか、腹が減っているか・・・をよくよく書く人だ。