ちょス飯の読書日記

 『若中』 ★★★☆☆

若冲

若冲

 作者が若冲をモデルに史実に基づき、描いた彼女の若冲像。
 
 私は、彼が性的に不能者で女性と一度も性交すること無く、絵の世界に没頭していた人だと決めていたが、瞳子は彼に自殺した妻とその妻の弟がいて、彼の贖罪の気持ちがかくも華々しい創作をさせたと考えたらしい。弟は後に若冲の贋作を描く画家となり、彼を死ぬまで糾弾し続ける。これに応えて若冲は次々と傑作を生み出して行く。・・・しかし、最後には・・・。

 とても驚いた。

 確かに、北斎はでんでんむしのようにこたつにもぐって、ずっと死ぬまで絵を描き続けたという「画狂老人」だったらしいが、若冲は青物問屋の跡取り息子として、働かねばならず隠居後も社会人としての仕事をしなければならない立場だった。

 果たして画家だから何もしないで、絵だけ描いて暮らすということができる人はいるだろうか。

 若冲の代表作それぞれが生まれた背景が、それぞれの章となって書かれている。

 若冲の絵の具の準備や身の回りの世話をして来た、妾腹の妹が彼の心の機微を読んでいる。

 しかし、ちょっとこじつけの感も否めない。マイナス2★