ちょス飯の読書日記
『マチネの終わりに』 ★★★★☆
- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2016/04/08
- メディア: 単行本
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例えば、慰藉(いしゃ)は、なぐさめいたわることだ。
ヒロインが最高学歴の女性で、冷静沈着な美女。彼女の恋の相手は天才ギタリスト。最後にこの物語の題名の由来がわかる。
丁寧に丁寧に、大人の恋愛が書かれている。
大学の先生が普通の恋愛は小説にならない。男女が結ばれてからの日常は「おはなしにならない」からと言っておられたが、ふたりが結ばれない物語だ。最後の場面からどう物語が始まるかは、読者次第なのだろうか。
ヒロイン小峰洋子の父親がユーゴスラビア出身の映画監督で、母親が長崎出身の被爆者であるという物語も興味深かった。彼女がフランスのジャーナリストとしてイラクに、滞在しており、爆弾テロから一瞬の偶然で助かったというエピソードや、彼女の婚約者がリーマンショックに、関わっていた経済学者だという設定。
現実の世界を克明に反映させている。このことに驚いた。
天才ギタリスト蒔野聡史のスランプ。彼の師匠の介護なども。いろいろな困難ばかりがふたりに降りかかり、互いにそれを秘密にして、自分で乗り越えようとする。相手に心配をかけたくないと。
依存しない自立した個人の恋愛とは、こういう物語なのか。
偽メールの場面は、悔しかった。しかし、人は害なすものを許して生きていくしか無い。
完璧すぎてマイナス1