ちょス飯の映画評

 『ダレン・シャン』  ★★★☆☆ 
 

 原作を一冊づつ図書館で辛抱強く、順番を待って親子揃って全巻を読破した。この映画は長い長い原作を一本にしているので、別の作品だ。
 ごく一般的な教育熱心な両親のこどもで成績優秀なダレンは、親の言うことをよく聞く優等生だった。しかし、親が勧める良い大学に進み、良い会社に就職し、良い家庭人になるという人生には、何か疑問を抱いている。
 蜘蛛が大好きというところから、不思議なサーカス(いわゆる見世物小屋)を見に行き、芸をする毒蜘蛛に魅せられてその蜘蛛「オクタ」嬢を盗んでしまう。
 しかし箱から逃げ出したオクタが、吸血鬼になりたがっているダレンの大親友劣等生のスティーブに毒針を刺し、危篤状態にあるところで、サーカス芸人に扮しているバンパイヤから「お前が半バンパイヤになれば、友達を救ってあげよう」と持ちかけられる。
 友人の命を救うために、自分の人生を捧げるダレン。
 しかし、異形の人々が仲良く助け合って「見世物として」旅公演を打ちながら暮らしているキャンプは面白かった。渡辺謙の怪しい中国人然とした、怪演もおかしかった。

 ディスタイニー(運命)という名前の魔法使いが、人々を戦争状態になるよう設定して死ぬまでやらせ、それを高みの見物して楽しむ、という場面は恐ろしかったが、実際の世界にも案外戦争屋というものがいて、武器をどちらにも売りつけて地球上の紛争を勃発させ、これを喜んで安全な場所から見物しているのかも知れぬ。恐ろしい。

 バンパイヤ(不死の吸血鬼)もののファンタジー映画だが、幼い子供には、ちょっと怖いかもしれない。
 最後の最後に明かされる、大どんでん返し。
 親友だと思って命まで救ったスティーブが、ダレンを深く憎んでいたというところが、映画では早い場面で語られてしまい、マイナス2★。
 ダレンとモンキーガール(しっぽの生えた少女)のキスで終わるところは、アメリカ映画のハッピーエンドを踏襲していたが、次回に続くような終わり方だったから、後続作ができるかもしれない。

 この続きは「本を読め」と言うセリフが面白かった。原作を是非読んでみてほしい。

ダレン・シャン(13冊セット)

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