抜歯地獄

 長年痛みに苦しまされてきた。この歯さえ抜けばもう痛みとおさらばできるだろう、それまでの我慢だと思ってきた。

 歯科医はなかなかうんと言わない。「根がしっかりしているから、抜かないほうがいい。レントゲン写真だと、異常ない」と、何度も冠を外して虫歯の治療をしてくれたが・・・。それでも痛みは変わらなかった。

 ついに、「どうかひとつ。」と頼んで抜いてもらうことになった。この日が来るのが怖かった。

 しかし、3月30日とうとうその日がやってきた。

 すっぽおおんと簡単に抜けるとばかり思っていたが。あにはからんや。これが、ちっとも抜けない。麻酔を打つ、削る、揺さぶる、これを5度位繰り返しただろうか。90分が経過。麻酔注射の針も削るのも、抑えるのも、痛いこと、痛いこと。

 スパイが拷問で歯を抜かれる映画のシーンを思い出す。作り物だとわかっていても、心底恐ろしい場面だった。chosu-manmaもスパイになった。この痛みの果てには、必ず痛みのない世界が待っているのだから、頑張れ自分、と自らを励ました。

 女医はなかなか抜けないので、だんだん焦って、ぞんざいに作業をするようになってきた。男性の医師も心配してアドバイスをしたり、歯を揺らしたりした。

 3時から開始して、4時半ころだったろうか。やっとやっと日本の歯の根が抜かれた。痛い。
 
 しかし、もうこれ以上の地獄の苦しみはないだろう。痛みはまだまだ続くだろうが。傷口が塞がるのは時間の問題だ。日にち薬を信じて・・・。痛みに耐えるのだ。

 chosuが、夕食を作り丁度休みだったchosu-pampaは、エネルギーチャージのゼリーや白粥のレトルトパックを買ってきてくれた。きっと治る。