ちょス飯の読書日記

 『A』 ★★★☆☆

A

A

 敗戦記念日が近づいて来た。題名からはまったく予想できない内容だった。

 短編集だが、やはり表題作『A』が一番だった。

 中村は戦争を知らない世代だが、戦地で中国人捕虜を殺せと命令された男のその瞬間を想像して描いている。本当に恐ろしいことだが、実際に、中国や東南アジアの侵略した村々で、日本人の兵隊はこういうことをなしてきたのかもしれない。見ているかのように、ありありと書かれていて、怖い。

 その心理や周りの者を描いている、震撼とした。

 Bは、戦地で慰安婦と呼ばれる、娼婦のことを描いている。あまりにも恥ずかしい、悲しいことを戦地の兵隊さんたちは、していた。
 お国の妻子には、立派に敵と戦っていると思わせて、このような恐怖心と戦うためか、人間性を無くしてしまうからか、皆でひとりの女に、精を放ち、数秒の慰めを与えられていたのだろうか。

 戦地では、まず女を犯し、殺しても構わないという。こどもも平気で殺したのだろうか。

 全員がそうではなかったと思う。そのような女性を哀れに思い、決してピー屋へ行かなかった人もいただろう。

 天皇陛下の赤子として、皇軍の兵士と自称するのならば、もっと誇り高く、行動してほしかった。

 他の短編は、恐いものや官能もの、SFっぽいものなどがあったが、やはり真面目な小説の方が、中村には似合う。
 
 チンポこがロケット花火のように、次々に発射されて飛んでいくとは。おもろない。